社会情報学部長インタビュー ~男女共同参画を語る~

とき
平成27年9月10日(木)
場所
荒牧キャンパス・まゆだま広場
インタビュー
富山 慶典 社会情報学部長
インタビュアー
工藤 貴子  男女共同参画推進室長
末松 美知子 男女共同参画推進室員
長安 めぐみ 男女共同参画推進室講師

社情における男女共同参画の現状(学生と教員)

末松:よろしくお願いします。それでは初めに社会情報学部の男女共同参画の状況などを。

富山:まず、現状ですが学生さんを見ると,この10年を振り返ると40%と60%の間にずっと収まっています。
(グラフ参照: 平成17年度~27年度社会情報学部男女別入学者割合)

末松:そうですね。

富山:創設21年目になりますが、社会情報学部の場合は、もうずっと、ほぼ半々という。大体10%の間で行ったり来たりしているのが、現状です。

末松:学生については、すばらしい。

富山:ええ。学生については,特に文系というか、人間的なものを扱っていることが恐らくあるからだろうと思います。それから、新しい学問ということもあるかもしれません。元々、文理融合のような形でスタートしていることもあって。最近、高校を回っていますが、いろいろな先生方からお話を伺うと、「何か、文学的なこともやってみたいな。社会学的なこともやってみたいな。」そういう生徒さんが少しずつ増えているような。高校の先生方は、絞り切れないという言い方をするのです。だから、私は逆に、「先生、それは無理やり絞っちゃいけないんじゃないですか」と、余計なことを言ってくるのですが。そうすると、「社会情報学部は、そういう意味でいいですよね」という言い方をするのです。広いということは、ある意味、入ってから学生さんがいろいろと学びながら進路を決めていけるというように前向きに捉えれば、決してそれは悪いことではないと思いますね。

工藤:理工系などでは、入って、「やはり向かなかった」とか「こんなはずじゃなかった」などと言って、ドロップアウトする人がいるのです。

富山:ああ、いますね。

工藤:だから、群馬大学の社会情報学部では、そういうことは少ないということですか。

富山:ええ、ないです。まあ、転ゼミは、多くはないですが。

末松:そうですね。

富山:やはり、純粋な理系の先生についていて、私は真ん中辺りですが、「ちょっと」という感じで移ってくる子もいますから。

末松:先生のところから、私のところに移ってきた学生がいましたね。

富山:ああ、いたいた。

末松:分野が全然違うのに。女の子だったけれども。

工藤:それが可能なカリキュラムになっているということは素晴らしいですね。

富山:そういうことで、学生さんのことでいけば、まあ、50:50がいいかどうかは分かりませんが、とにかく50:50になっている。ほぼ半々。

末松:そうですね。バランス的には。

富山:他方、教員ですが、これはもう、創設当時から現在まで継続して非常に少ない。末松先生はずっといらっしゃっていただけているので、0にはなっていませんが、最大で3名…?!

末松:最大で3名ですね。これは文系の学部としては、少ないです。1割を超えたことはありませんでした。

工藤:パーセンテージは。

富山:10%を超えたことはないのではないですかね。

末松:ここのところ、ずっと2人です。もちろん、人事の凍結などいろいろな問題がありますし、それで男女共同参画推進室のインタビューも後回しにしたのです。

富山:だから一生懸命考えていましたよ。いろいろなことを。喋ることを(笑)。

末松:少し状況が明るくなりそうになったら、と思いまして。

富山:明るくはないけれど。明るくないから、笑っているのだけれども(笑)。育児休暇を取った女性が1人いました。その方は、育休を取ってそのまま辞めてしまいました。現在は29名で、そのうち2人ということですから、7%弱ですかね。とにかく、10%にいったことはないです。それが現状ということになりますかね。

末松:分野的なこともあるのでしょうか。社会科学はもう少し女性がいるかと思ったら、意外に少ないというか…。

工藤:そうですね。理工系であれば少ない。特に機械のようなところはとても少ないですが。でも、社情であれば、もう少しベースにはいらっしゃるのではないかと思う。

末松:一応応募は、ちらほらはありますが、残れないのです。面接に残った人も少ない程度なので。

工藤:でも、ポジティブ・アクションはされているのでしょう、当然。

富山:もちろん、もちろん。

工藤:そうですよね。女性限定応募はまだできないという感じですか。

社情における男女共同参画に関わる基本方針と今後について

末松:そうですね。では今後、何か計画はされていますか。

富山:ええ。基本的方針と今後の計画でいいですか。

末松:はい。

富山:基本的には学生さんと同じように、教員も大体半々にもっていくのが私はいいと思っています。理由はいろいろとありますが、大きくは2つぐらいですかね。1つは、やはり、学生さんの比率が半々だということです。それからもう1つ、それと関係しますが、ちょっと硬い話ですが、社会情報学は新しい学問で、いろいろな役割があります。その1つの重要な役割が健全で、安心・安全な情報社会を目指すこと。つまり、情報絡みのいろいろな機械などが出てきていますが、そういうものが安心・安全で、誰にでも、お年寄りの方も、もちろん若い子たちも、ジェンダーも関係なしに、恩恵が行き届くようにということを目指さなくてはいけないと思います。それが、社会情報学の役割の、あえて言えば1つではないかと思います。そうだとすると、やはり女性の視点がとても大切になってきます。子育て中の若いママさんたちのネットワーキングが、実は結構盛んです。核家族化になって、子育ての知恵の伝承とか、安心してアドバイスをもらったりするような人たちが、周りにいなくなってきてしまったということです。それから、「どこどこにお店ができたわよ」「どこどこの店で、今度こういうイベントやるらしいわよ」というような情報が欲しいという人が、若い人には多いらしいです。そういうことは、ITを使うと速いです。即時性があります。すぐに伝わります。前橋でも結構盛んで、行われています。
 それから、ご承知かどうか、日本はIT系の、要するにインフラと言われるものが、世界でトップクラスです。速くて安い。つながらないなどということは、めったにない。災害か何かが起きたら、それはまた別ですが、普段つながらないということは、ほとんどない。インフラ・ストラクチャーは、日本は最高に良いです。ところが、その利活用の面。それが、どの程度どのように使われているかという面になると、海外の足元にも及びません。つまり電車で言うと、すばらしい新幹線の下だけを造って、電車も造ってあるのだけれども、走っていない。誰も乗っていない。空で走らせているような、イメージで言うと、そういうことですね。
 その最大の理由は、どうも日本人独特の理由があって、ネット利用への恐怖や、危険というか、IDを盗まれてしまう、パスワードを盗まれてしまう、どうも信用できない。そんな事件の数字が、日本は3倍も4倍も高いです。だから、インターネットに対する不安感のようなものがものすごく大きいようです。でも、その中で好調な領域があります。これは働く若い女性のネット・ショッピングです。

工藤:そうなんですか。

富山:日本の場合は、ネット・ショッピングの利用率は高い。しかも、最近、主婦の人も増えてきているようです、周りにお店がなくなってしまったから。

末松:私もいつか驚いたけれども、手作りのものを、ネットでどんどん若い女性が売っていました。小物とかの写真を撮って上げていて。

富山:そういうものには、ネットはもってこいなのね。ネット・ショッピングは、かなりの領域で、20代後半から40代前半の、働く女性たちの利用は断トツです。時間がないということと、それから、新しいものが、できれば欲しい、何も持っていないのは寂しいという。分かりませんが、そんな理由らしいです。

末松:そうですね。でも、そういう研究をしている女性研究者は。

富山:少ない。ではなぜ少ないのかという話になってくる。分からないけれども。とにかくそういう状況なので、社会情報学としては女性の視点をもっともっと入れてもらって、共同参画をする上で必要なこういうものが欲しい、必要だ、などということでもいいと思う。サービスでもいいし。そういう声を出してもらっていくと、ベンダーといいますが、要するに開発側が、それにも目をつけていく。女子学生さんを見ていると、そういうところに勤めている子もいますよね。だから、これから出てくるのではないかと思う。

末松:そうですね。卒業生も、システム・エンジニアになった学生が、結構いますから。利用者側に立ったような、その視点を生かしたような研究であれば、女性もできますね。

富山:情報の接点は大きく2つに分けられて、1つは開発側と言われるものです。要するに、ものを作っていく側です。それからもう1つがユーザー側、利用者側です。会社で今欲しいのはユーザー側。結構学生時代に遊んでいたような子が、そういうところで良い仕事をしたりするのですよ。「こんなこと、面白いんじゃない」などということが。だから社情の卒業生などは、いろいろなものに触れながら、結構遊んでいるかもしれないけれど、結構、外に出て行くと、そのユーザー的な視点が大事というか。
 情報社会、社会にはいろいろな捉え方があると思いますが、情報絡みで言うと、やはり女性の視点はとても必要なので。今、学生さんでも仕事でも、研究者でも、職員の方でも、やはり女性の方がいてほしいと思います。そうしないと、新しい話が出てこないです。

工藤:男子学生と女子学生の考え方や見方は、はっきり違うのですか。個性が大きいような気もするのですが。そのように見れば、平均的にはこうだと言えるかもしれないけれども、そういうところが、どのように見えるのかと思って興味深いと思ったのですが。

長安:今は、割と男の子が女性化していますよね。本当に、女性化の社会だと思います。

富山:それはありますね。

工藤:うん。両方が歩み寄っている気がする。

長安:そうですね。でも、女の子は割と活動的になってきているでしょう。だから特性でなかなか分けにくくなっているけれども。でも、昔から脈々と続いているものも背負っているから、両面あると思います。

工藤:元々、女性の方がたくましいというか…(笑)。

長安:確かに(笑)。

工藤:実際は強いかもしれないので…。

長安:それは言えておりますね(笑)。

富山:非常にアクティブですね。最近の女の子、学生さんは。

末松:そうですね。今年の社情のパンフレット委員会もほとんど女の子ががんばっています。

長安:すてきですね、あのパンフレットね。

末松:大概、いつも女の子の方が多いですね。

富山:多いですね。

長安:良い経験になるのでしょうね、あのようなものを作り上げることは。

工藤:このようなことも男女が半々いることで、すごく良い効果が生まれているのではないかと。

末松:もし考えの違いがあるなら、お互いの考えも学べるし、ディスカッションも男性だけのグループと女性だけのグループよりは、混じっていた方が盛り上がりますよね。

工藤:そうですね。

末松:ゼミなども混じっていた方が圧倒的に雰囲気が活発になりますね。

工藤:そうですね。だから、教員会議などでも、もう少し女性がいればね。

末松:でも多分、2人でもかなり存在感はある(笑)。若い先生も委員長を歴任して、がんばっています。

富山:そうですね。それはお互いにお互いが必要ですね。それに関わる話を後で少し話したいけれども、でも本当にそう思います。

「夫にやって欲しい家事ベスト5」のススメ

末松:先生ご自身のご家庭内では男女共同参画がすごく進んでいらっしゃる。先生と奥様は一緒に週末はお料理されるとか。いつもお2人で買い物に行って、それでお食事を一緒に作って。

富山:(2人で)1週間分を作るんですよ。それを2つに分けて、半分は家に置いて半分を持ってこちらに来て。

末松:週末しか帰らないから、それでコミュニケーションもとれるし、とおっしゃっていたので、一石二鳥だと思って。すばらしいですね。

富山:ただこれは、母がずっとやっていてくれて、それで母が亡くなったのですが、その後家内が作ると言うので。それで私が何もしないわけにいかないではないですか(笑)子どもは3人いますが、もう出てしまっていることもあって。料理は元々好きだったので、「じゃあ、教えていただけますか」と言って。

末松:先生ご自身は、役割分担などはあまり気にならないのですか?女性と男性の。

富山:僕自身は…別に気にならない。ただ、絶対に踏み込まないよ。うちでは奥さんが教授、料理のときはね。私は助手。一般的な言い方をすると、夫が家事をやろうとしたときにいろいろと困るわけです。まず、男性をどうやって家事に参加させるか。夫から言うと、何ををどうしていいかがよく分からないというのが、多分本音ではないかと思う。それで、奥さんの側から言えば、下手に入ってくるなと。要するに邪魔だと(笑)。余計なことをするし(笑)。「だったら、もういいわよ。私がやっちゃうから」ということがあるのではないかと思います。でね、考えてみた。それを解決する方法があるのではないか…と。それは、奥さんに、夫にやって欲しい家事ベスト5を出してもらう(笑)。そうするとこれだけで、まず夫が何をしていいか分からないということは解決する。その次は最初はやはり、家事のポイントを教えてもらうしかない。私も教えてもらいましたから、教えてもらうしかないのではないか。教わったら、まずやってみる。夫はね。そうしたら申し訳ないけれども、とりあえず褒めてください(笑)。

長安:それは大切ですね。大事ですね、褒めるのね。

富山:ぜひやってもらいたい。そうすると男は「そうかな」と。たいして顔はニコニコしないかもしれないけれども内心は嬉しい。実は。「こんなんでいいんだ」と。そうすると、自分でもっと良くやろうという気持ちが、なぜか出てくるのです。それで継続して普通になるのではないかと、つくづく思います。これは全部が全部ではありませんが、半分ぐらい経験が入っていて。すみません、個人的なことで。茨城に家があって、日曜の夜、こちらに来て、1週間いて、金曜の夜、終わると帰るという生活を20年くらいずっとやっているのです。最初は、どうしようかと思って、何も分からない状況で、「まあ、適当にやっとけば、死ぬことはないだろう。掃除しなくたって、別に死ぬことはない。」などと、勝手な理由ばかりを見つけるわけです(笑)。それで、家内が1か月に1回ぐらい来てくれて掃除をしてくれるのですが、そのときに一緒になって掃除をしたりしながら、「ああ、こうかな、ああかな」などと言いながら、やっていたのです。そうしたら、少しは一人でできるようになったようで、来ると「あっ、いつもよりきれいじゃない」と、そういうことを言うわけです(笑)。

末松:いつぐらいからできるようになりましたか。何十代ぐらいからですか。

富山:10年ぐらいたってから。50ぐらいではないかな。

末松:大丈夫ですよね、50代でも。

工藤:大丈夫よ。やる気の問題(笑)。

末松:やる気…ですか。

富山:やる気か。きっかけは何だろうな?やはり、自分でやらなくてはいけない状況になったことが、一番大きいかもしれません。その原点はどこかなと思って、実は(このインタビューの)話をいただいてから、少しずつ考えていたわけ。奥さんにも出たら記事を渡そうと思うけれども(笑)。「ね、ね、ね、もし、やってほしいと思ったら、何やってほしい?」って聞いてみたの。1、2、3、4、5と書いて、「何でもオーケーだよ」と言って、。そうしたら、結構出てきた(笑)。

末松:本当ですか。

富山:掃除系が多いね。トイレの掃除や、おふろの掃除があって。

長安:ああ、トイレですね。うん。

富山:ありました。「ああ、そうか」と。やっていることは1個しかなかったけれども、「ああ、これはいかんな」と思って。「それじゃ、まず1つやります」と言って、お風呂場の掃除をしようと思って、やり始めました。何かこのようなアイデアを推進室が募集し面白いことをやって、楽しみながらやるのもいいのではないかと思って。

末松:これからは女性、女性ではなくて、男性の先生方の意識を変えていくように、何かできないかと思っているので、このようなアイデアは、非常に参考になります。

富山:もう1つあるのよ。男性の育休はどのぐらい取っているのですか?

長安:男性の育休は本当に少ないです。まだ2人。平成22年から27年であれば、2人です。その前にまた2人ぐらいいらっしゃった。

富山:そうですか。いや、私ももちろん取らないできてしまった方ですが、この男女共同参画にはいろいろな側面があって、いろいろな進め方があると思うけれども。若いご夫婦を対象にしたような政策というか、アイデアですが、お子さんが生まれたとします。生まれたときに、ご主人に育休を。子どもが生まれれば分かるではないですか。書類が出るので、その気になればすぐに分かるわけです。どこにお子さんが生まれたということが。

長安:誰のところに生まれた。

富山:そうしたら、ご主人に育休を取得するように、まず促す必要があると思います。生まれたときに、すぐに「育休を取りましょう」という形で。そのときに、阻害するのが上司なんだよね。夫の上司やそこの職場の雰囲気がどうしてもあります。上司というものは大体それほど若くない。つまり、年寄りなわけです、私のように。この年寄りが結局、そこで邪魔したらだめなわけ。その年寄りに、部下が育休を取得できるように、そういう配慮をしてください、という。年寄りも一緒になって支えましょう、みんなで、という意味で、年寄りも一緒に、「年寄り」という言葉は使えないけれども、とにかく、上司の方に、部下が育休を取得できるような配慮をぜひ考えてもらいたい。職員の方は異動するから移ってしまうかもしれないけれども、でも小さなところ、それが1つの係か何かであれば、中で相談してやれば少しずつ少しずつ広がっていくのではないか。どこか1箇所でもうまくいけば、こうやって工夫しているという話が出れば、もしかしたら、だんだん上も動いてくるかもしれないと思って。それにはやはり、現場で何か、大きいことはできないかもしれないけれども、そういうことをやったらどうかと、ちょっと思いました。これは、どこかの企業でやっているという話を聞いたのです。生まれると、すぐにやると。

長安:はい。ホシザキとかはやっています。

富山:そうですか。

長安:もうほとんど強制的に。

富山:強制的。へえ~。

長安:「何日間か休みなさい」という感じで。強制的に。5日間、1週間ぐらいでしたか。

富山:それは、会社がやっているのですか?そういう方針なのですね。

長安:「プラチナくるみん」が取れたそうです。それぐらいしないと、なかなか難しいです。

富山:うん、そうですね。

長安:でも、1週間でも、10日でも、そばにいるだけで、苦労は分かりますよね。

富山:そうですね。そこでベスト5をやってもらうといいと思います(笑)。そうすると、奥さんはもっとうれしいのではないか。つまり、出産や何かで疲れているし、いろいろな意味で休みたいと思うわけです。大事なときですから。そういうときに、旦那に、奥さんがやってほしいベスト5を出して、ご主人にやってもらったら、愛も深まるのではないかと思っているんですけど(笑)。そうしたら、一石何鳥かと思って。何かこのようなアイデアというか、何か、そのようにやっていくといいのではないか。楽しみながらやれると、みんなも、気楽に、若い人たちも入ってこられるのではないか。そのうち、年配の人も1人ぐらい引っ張りこんで。

末松:今、男女共同参画推進室員は女性の先生が多くて、男性の先生が2人ぐらいなのですが、もう少し男性にも入っていただいて、アイデアをいろいろといただかないと。

富山:今みたいにね。

長安:そうですね。

富山:多分、男性の方が分からないというのが、正直なところではないかと思います。だから、そこは少し優しく教えていただければ。

長安:そうですね。具体的にですね。

富山:そうですね。具体的なものがいいかもしれません、そういう。

末松:ありがとうございます。

これからの社情と男女共同参画ついて

富山:いえいえ。何か勝手なことばかりで。確かに。最後にというか、言ってしまってもいいかな、ここで。

末松:はいはい、いいです、何でも。

富山:筋書きではないけれども、今後の計画の話は、やはりしなければいけないと思いました。正直に言うと、ここはネガティブな話になってしまいますが、具体的に策定できないのが現状です。最大の理由は、なかなか後任人事が、教員の場合は、うまく回っていないということが、いつもありまして。これは、うちだけではない、他の学部も、程度の差はあれ、なかなか人を雇うことが難しくなっているので、人件費がかなり高いですから。ですから、なかなか、そこだけに頼ってしまうと、難しいのではないか。それで、先ほどのように、いる人たちで何か工夫してやっていかないと。やはり、女性を入れるだけ、数を増やすだけでは、何か制約があったらすぐに止まってしまって、頓挫というか、ストップしてしまうのではないかと思いました。実際、来年の4月から、社情は、若い人たちががんばってくださって新しく教育プログラムをかなり改革して変わりますが、新たに採用できる教員は、1名しかいません。大分お辞めになっている、4名ぐらいお辞めになっていますが、来年の3月にまた3人お辞めになりますが、現時点では、その補充はない。

工藤:ないのですか?

富山:1人、今採用をやっている人が来てくれればね。「29-3+1」なので、27名くらいになります。もちろん女性が来れば欲しいのですが、先ほど言ったように半々にしていく必要があると思うので。けれども実際的にはそういう状況がある。これは、学内的な内部事情ですが。それと、外部の事情として、先ほど話題に上がった女性研究者が社会情報学会に行っても、若い子たち、院生の子たちは結構おりますが、女性研究者が非常に少ないですね。なぜかと思いますが。やはり、ネットの中の世界という話になるので、バーチャルな世界を扱うような感じの研究がどうしても多めです。やはり女性はリアルな方がいいでしょう(笑)。

工藤:そうですね。現実的な方が好きでしょうね。

富山:これは勝手な理由ですが、もしかしたら根っこにあるのかもしれない。社会学をやる人でも、家族の話というと女性が圧倒的に多いです。

長安:身近なところのテーマですね。

富山:ええ、とても多いです。「地域」というと、また少し減ってしまいます。そんな傾向があります。社会情報というと、もっといくと、ITのようになってしまうと。機械的な話になってくると、余計そうです。やはりITというと、あまりおもしろくないというか、リアリティーがないというか、人間らしさがあまりないので……ということではないかと思います。とにかく、現実は少ないです。

長安:使う人の半分は、女の人ですのにね、ユーザーはね。

富山:そうですね。いや、本当にそうです。なぜか少ないです。

末松:文科系の科目、比較文化のようなところがまた募集できるようだと、その辺は女性が結構いる分野だから、可能性も高まるのですが。なかなか、その辺りが止められてしまっていると難しいです。

富山:外から後任を採るときにそうやって増やしていくということと、それからあとは、先ほど言った、中でやれることをアイデアを出し合って,何かやってみること。

末松:お時間をいただいて、ありがとうございました。

富山:勝手なことばかりしゃべって、申し訳ありません。

末松:個人的なこともお話しいただいて、お人柄が伝わってきました。ありがとうございました。

富山:ありがとうございました。